性別適合手術(SRS: Sex Reassignment Surgery)または性別確認手術(GCS: Gender Confirmation Surgery)は、トランスジェンダーの人々が自分の性別アイデンティティに適合する体を得るために行う外科手術です。性別適合手術には、男性から女性(MtF: Male-to-Female)および女性から男性(FtM: Female-to-Male)への手術が含まれ、それぞれ異なる術式が存在します。
男性から女性への性別適合手術(MtF)
- 陰茎陰嚢皮膚移植法:
- 最も一般的な術式で、ペニスの皮膚を反転させて膣を形成します。陰茎の皮膚が膣内に移植され、クリトリスは亀頭を利用して形成されます。陰嚢の皮膚は、外陰部や大陰唇の形成に使用されます。
- 尿道の開口部は、陰茎の先端から女性的な位置に再配置されます。
- この手術は、感覚を維持し、性的快感を得られるように工夫されています。
2 .S字結腸法:
- 腸の一部を使用して膣を形成する術式です。通常、S字結腸が使用されます。この方法は、ペニス反転法よりも深い膣を形成できる場合があり、潤滑性にも優れています。
- ペニスや陰嚢の皮膚が不足している場合や、過去にペニスに損傷を受けた場合に選択されることが多いです。
3. 陰茎腹膜膣形成術/PPV法
- 陰嚢反転法、S字結腸とも難しい場合に選択されます。
- 腹膜と組み合わせた膣入口用の新膣管を作成するために、少量の反転した陰茎を使います。
- 新しく形成された膣は適度な自己潤滑性があります。
- 一般的な反転法やS字結腸手術痕に見られるV字状の縫合痕は存在せず、ナチュラルな形状に仕上がります。
- 術式の性質からダイレーションが大変だと言われています。
女性から男性への性別適合手術(FtM)
- 乳房切除手術:
- 胸部の乳房組織を除去して、平坦な男性的な胸を形成します。乳輪と乳頭の位置を再調整し、男性らしい外観にします。
- 皮膚の余りや傷跡の位置は、選択する手術の種類によって異なります。
2. 卵巣・子宮摘出術:
- 卵巣や子宮、卵管を摘出する手術です。これにより、月経が止まり、体内のエストロゲンの影響が減少します。この手術は性別適合手術の一環として、または健康上の理由から行われることがあります。
3. 陰茎形成術:
- 腕や太ももなどから皮膚、筋肉、神経、血管を採取して、ペニスを新たに形成する手術です。感覚や機能を維持するため、神経や血管が再接続されます。
- 形成されたペニスには、インプラントが挿入されることがあり、これにより勃起機能が得られます。
- 尿道の延長も行われ、立って排尿できるようにすることが目指されますが、合併症のリスクが伴うことがあります。
- 予後がよくない、肥大したクリトリスで戸籍変更可能などの理由により選択されないことが多いです。
性別適合手術の考慮点
- リスクと合併症: すべての手術にはリスクが伴います。感染、出血、感覚の喪失、術後の合併症などが考えられます。特に尿道再建やファロプラストには、長期的な合併症のリスクが高いとされています。
- 術後のケアと回復: 手術後は、痛みの管理や傷の治癒を促進するために、適切な術後ケアが必要です。特に膣形成後には、ダイレーション(膣の拡張)を続けることが重要です。
- 心理的サポート: 性別適合手術は、心理的な影響が大きいため、手術前後にカウンセリングやメンタルヘルスのサポートを受けることが推奨されます。
性別適合手術は、トランスジェンダーの人々が自分の性別アイデンティティに沿った体を持つための重要なプロセスですが、その決断には十分な情報と医療のサポートが必要です。●★